雨で増水した赤沢でイワナを釣ろうと、林道を2時間40分も歩いて行ったのに、ボウズをくらってしまった。前回の織戸沢でのボウズと異なり、イワナの当たりがかなりあり、合わせのタイミングも決まってロッドが曲がるのだが、途中で逃げられてしまうものであった。
イワナは遅合わせと言われるが、合わせのタイミングはこれ以上は遅くできない間合いを入れてからロッドを立てていたので、決して間違ってはいなかったと思っている。悪夢としか考えられない。
3:30に自宅を出発する。昨日から降り続いていた雨は止んでいるが、空には星が見えずに真っ暗だ。山北の気温が9℃と暖かい中を走って、4:49に浅瀬に着く。先行車は2台だ。5:03に漁協の事務所に顔を出すと今日の監視員はTk氏であった。渓流がかなり増水した音を立てているので、なるべく上流に入渓しようとバケモノ沢上流の赤沢に決める。
沢割りボードのベケモノ沢の上端をマークし、5:07に明るくなった林道を一人で出発する。今日からヘッドライトはザックの中に仕舞ったままで使わない。ウグイスの鳴き声を聞きながら朝のさわやかな林道を歩くのは気持ちが良い。大又ダムがオーバーフローしているらしく、勢いのよい白濁した激流が元気な音を響かせている。
5:36に笹子沢橋でフリースを脱ぐ。半袖の下着に長袖シャツは真夏の服装と同じだ。5:56に法行橋で気温8℃、ミツバツツジが群生しており赤紫色の花が鮮やかだ。6:07に大又ダムは予想通りに少しだけオーバーフローしていた。6:15千鳥橋、6:31玄橋、6:40地蔵平。お地蔵さまに安全を祈願する。大漁を願ったことは無い。(それは腕前次第と自覚している。)
6:48第1渡渉点、増水は予想外にわずかで平水と変わらない。6:50第2渡渉点。倒木でいつもの下流側渡渉点がプールになり水位が上がり、少し登山靴の中に水が入ってしまった。7:03大滝沢橋で空の雲が切れて青空が広がってくると、雷鳴が大きく響き始める。山の中では朝晩に雷が鳴るので驚かない。
廃林道には予想外に倒木が少なく明るくなっている。7:17に第1ガレ沢、7:26に第2ガレ沢。大きなフレッシュな落石が2ケ所で増えている。一番危険な区間なので慎重に崖の状況を見極めてから通過する。7:30に第3ガレ沢を通過し、7:33に第4ガレ沢。白ザレが深くえぐれて谷底に降りられない。ノコギリで蔓を切ってロープにし、登山靴でステップを白ザレに切りながら、蔓に摑まり谷底に降りる。谷底のガレ石には浮き石が多く、足を乗せると動いて落下して行く。慎重に進んで7:38にようやく通過する。植林の中の急坂を下り、7:49に大きな河原のロープの入渓ポイントに到着する。
朝食休憩を取りながら、着替えと支度を行う。気温10℃、水温9℃、少し増水、クリヤー。日が差し込んできて渓流の上にはムシが溢れるほどたくさん飛びまわっている。#24のミッジから#16のメイフライまで大きさはさまざまだが色はグレーの地味なものばかりだ。渓流に春がきたことを実感する。
0.5号渓流フロロ40cmを太くなったリーダーに結んで1.5mの仕掛けを作り、エルクヘヤカディス#16peacock bodyを結び、8:25からキャスティングを開始する。最初の大岩の落ち込み、右岸の際、左岩壁の石裏、大石の良落ち込みのソデと好ポイントが連続しており、魚の動き、魚影を注意深く探しながらキャストを続ける。
8:40に右枝沢前の良落込みでもヤマメの反応が無かったが、8:43に倒木の落ち込みの水深がある良瀬。ヤマメがフライに飛び付き反転する。しっかり合わせが決まって針掛かりさせたが、樹木が張り出しているのでロッドを上に立てられず、ラインをズルズル引いている途中でバレる。
8:52に右大岩の砂で埋まった元大淵。(写真1)淵尻の砂の上には待機する魚影が見えないが、右側の大岩の上からフライをキャストして流すと、石裏からゾロゾロとイワナが飛び出してきて追いかけ、飛び付いた。一呼吸間を置いて合わせをくれるとロッドに重さが乗って針掛かりしたが、少し暴れたらバレてしまった。ここに棲み付いているのはイワナなので、餌が流れてくると分かり2匹が姿を現して待機を始める。次に左側の端にフライを流すと淵尻まで追いかけて飛び付いた。一呼吸より気持ち遅らせて合わせをくれると、2回目の針掛かりをする。今度は釣ったとラインを引っ張っている途中でバレてしまった。その後2回バラしが連続し、9:06に当たりがなくなったので諦める。
9:10にその上流の左岩壁の砂で埋まった水深がある瀬。(写真2)小さな落ち込みの肩にイワナが待機しているのが見えたので、その1m上流から岩壁に沿ってフライを流す。フライが水面に落ちるとすぐにイワナが気が付いて走り寄り、喰い付いて反転する。水中に戻ったタイミングで合わせをくれるとロッドが曲がって重みが手元に伝わる。ヤッタと思ったがバシャバシャと暴れたらすぐにバレてしまった。何故なの、どうしたのと天を仰いでしまった。
落ち込み段差の上の小さな落ち込みや淵ではイワナの反応が無く、9:26に四角い岩の巻き戻し。イワナがゆっくり口を開けてフライを咥えて反転する。しっかり水中で合わせが決まって針掛かりしたと思ったがググッと重みを感じただけで姿を現す前にバレてしまった。
バレが続いているが、合わせのタイミングを変えたりすると目茶苦茶になってしまう経験をしているので、単なるアンラッキーと考えることにし、そのままの合わせを続けることにした。いつかはイワナが釣れるだろう。
9:26に赤沢出合いの大淵。淵尻にイワナが待機しているのが見えたが、フライを流すと逃げてしまった。9:33に左の赤沢へ進む。小さな段差の落ち込みが連続しているが、増水は少ししかしていない。
9:44に小さな落ち込み。フライが落ち込みの白泡立ちに巻き込まれて沈むと、ガガンという強い当たりが手元に来るがバレる。イワナは白泡立ちの底に待機して餌が沈んでくるのを待っているのだ。9:48に小さな落ち込みの開きの底にイワナが待機しているのが見える。白泡立ちの上からフライを流すと逃げてしまった。10:03に小さな落ち込み。フライが白泡立ちに沈むと強い当たりが手元に来たがバレる。重い錘を付けてミミズで探ったらいくらでもイワナが釣れそうだ。
10:15にバックキャストで高い樹木の枝にフライを絡ませ失くす。ケーキとコーヒーで休憩しながら作戦を考える。大きなフライにして白泡立ちの上を沈まないように流すか、小さなフライにして巻き戻しの水面だけを狙うか。後者に決め0.5号の渓流フロロハリス40cmにエルクヘヤカディス#18peacock bodyオレンジマーカー付きを結ぶ。
10:35にキャストを再開するが、白泡立ちに揉まれてフライが沈むとすぐに当たりがくるがバレる。イワナは底しか見ていない。10:40に二段のナメの落ち込み。(写真3)下段は倒木でガードされキャストできない。上段の巻き戻しの水流に乗せて水面をゆっくり流すと、気が付いたイワナを底から浮かんできてフライを咥えて沈む。ゆっくりした動作にタイミングをピシリと合わせて針掛かりさせたのだが、バシャバシャと暴れるとすぐにバレてしまった。
10:54に小さな水深がある落ち込み。(写真4)開きに魚影がはっきり見え、喰い付き方も素朴で自信がある合わせをくれたがバシャバシャですぐにバレてしまった。フックが無いのではないかとチェックしてみたが問題なかった。
11:00に二段のナメ下の大岩のぶっつけの砂で埋まった浅い瀬。(写真5)遠くから魚影がたくさん見えたので大岩の裏に回り、フライを流すと全員逃げてしまった。
その上流は勾配が急な連続落ち込みになっており、11:08に大石裏の流れでイワナが飛び付いたがバレ、11:23に小さな瀬でイワナが飛び付き針掛かりする。イワナが瀬にある流木に絡ったので慌ててタモ網を差し出したのだがバレてしまった。今日はすべてが裏目にでる。
11:25から赤沢の二段の大滝。(写真6)ここまで新しい倒木が少なく荒れ方がすくない渓相だったが、この周辺には倒木が折り重なっていた。下段の淵には何とかフライを落としたが、淵尻の底に見える魚影は反応せず、上段の滝壺でも流れ出しの魚影はフライを追わなかった。
11:35に左の岩壁を登って滝を越し、11:39に岩盤の小滝。(写真7)魚影は白泡立ちの淵底に潜んだままで水面に流れるフライには反応が無かった。11:50に沢が三又に分岐し、真中の水量が多い沢を進む。11:51に赤いナメ滝の淵では反応が無く、12:00から小さな落ち込み。(写真8)
白泡立ちからフライを流すとイワナが追いかけすぐに喰い付く。最後にイワナが釣れたとニンマリしたが、バシャバシャと暴れるとすぐに針が外れてバレてしまった。白泡立ちの開きに魚影が見えているが、右側の苔むした石の前の巻き戻しにフライをしつこく落として粘ると、12:04に同じイワナが当たってきたが、今度もすぐにバレ。ボウズを諦めきれず、パラティルト#14ディアヘヤcream body、CDCダン#14cream body、パラダン#18brown body、エルクヘヤカディス#16peacock bodyと立て続けにフライを替えて流す。その後は喰い付かなかったが、最後のエルクヘヤカディス#16は何度も追いかけていたので気になっていたようだ。
12:26に納竿にし、昼食休憩を取りながら、ロッドやタモ網をザックにしまう。12:46に沢通しに下山を始める。13:03に出合い、13:09に脱渓ポイントに着き着替えをする。
13:21から植林のザレを登って廃林道に出て戻り始める。13:33に第4ガレ沢。下流の方に踏跡が見えるので下ってみたが、朝蔓を切って降りた場所より谷が浅く安全性が高かった。苦労して第4ガレ沢をトラバースするより、第3ガレ沢上流を下って入渓した方が安全で楽そうだ。第2ガレ沢の新鮮で大きな落石をみるといつ事故に遭遇してもおかしくない危険なコースであることを十分に認識して行動しなければならない。
14:01大滝沢橋、14:10第2渡渉点、14:12第1渡渉点、14:17に地蔵平。お地蔵さまに安全釣行のお礼をし、14:39千鳥橋、ミツバツツジが林道の脇に咲いていて美しい。(写真9)14:56法行橋、15:12笹子沢橋、ヤマブキがかなり咲き始めており、あと1週間くらいで満開になりそうだ。コスモスの葉に似た葉をもつヤマキケマンの黄色の花も咲きだしていた。(写真10)
15:43に浅瀬に戻り、監視員のTk氏と少し話をしてから、16:00に浅瀬を出発する。帰路少し寄り道をし、愛甲石田のoutdoor worldに立ち寄り手作りルアーの消耗部品を購入したかったのだが、セルロースやウレタンは置いてなく、フックも欠品だらけであった。むしろフライ部品に買いたいものが多かったがWhitingのハックルは置いてなかった。
厚木周辺の道路は通勤車の帰宅ラッシュで渋滞しており、18:26に自宅に着いた。
今日はイワナが飛び出し喰い付くところまでは良かったが、途中バレばかりでボウズになってしまった。手応えを味わえたので楽しかったが悔しくもあった。合わせのタイミングは悪くなく、針掛かりするのでフックのポイントが丸くなっているのではないかと思っている。エルクヘヤカディス#16をフライBOXから別ののBOXに移し、新しいフックで巻いたフライで試して見たいと思っている。